液状化解析プログラムLIQCAの概要
1)はじめに1)
LIQCA液状化解析プログラムは,特徴は,Biot系の2相混合体理論に基づきu(土の変位)- p(間隙水圧)を未知数とした定式化に基づき,透水を考慮した連成有限要素法を用いた有効応力液状化解析法であり、早期にグラベルドレーンの液状化に対する効果を評価できる解析法として提案されてきた2、3)。特に,1) 有限要素解析の精度検証,2) 砂の構成式への非線形移動硬化則の導入,3) 解析安定性の確認,4) 不飽和地盤への適用がなされ,液状化解析が多く行われている。現在、粘性土解析、有限変形解析、構成式の高度化,不飽和土の取り扱い4)やジョイント要素の扱いも拡張され高度化されてきている5)。
2)飽和・不飽和地盤の動的解析法としての液状化解析プログラムLIQCA
固―液2相系の解析法では未知数の取り方や近似の方法によって,様々な定式化がある。完全な定式化として、固相の変位u, 液相の変位Uと間隙水圧pを未知数とするu-U-p定式化、液相の固相に対する相対変位wを用いるu-w-p定式化などがある。LIQCAでは固相の変位uと間隙水圧pを未知数としたu-p定式化を用いる。u-p定式化では,液相の固相に対する相対加速度は固相の加速度に比較して小さいと仮定して液相の変位を陽に扱わないことから,解くべき自由度の数を減らすことができ,計算コストの面で有利となる3)。
LIQCA液状化解析プログラムでは、微小変形勾配を仮定する、2次元のLIQCA2D、3次元のLIQCA3D、有限変形解析法によるLIQCAFD2Dが公開されている。
LIQCA2Dでは有限要素法と有限差分法(FDM)を用いて,支配方程式の空間離散化を行う。つりあい式の空間的な離散化には有限要素法,連続式の間隙水圧の項の空間的な離散化には有限体積法を用いる。一方,時間離散化には陰解法であるNewmarkのβ法を用いる。解析手法の精度は,飽和した多孔質弾性体に対する過渡応答の解析解との比較により検証している。
固相(土骨格)の変位uと間隙水圧pを未知数とした定式化(u-p定式化)で以下仮定をする4)。1) ひずみは微小変形勾配である,2) 間隙率,液相(間隙水)の透水係数の空間に対する勾配は十分小さい,3) 液相の固相及び気相の液相に対する相対加速度は,固相の加速度に比較して小さい,4) 不飽和土に対しては、空気圧は小さく0と仮定し、骨格応力とサクションを構成式で用いる ,5) 気相と液相の相互作用は考慮しない,6) 土粒子は非圧縮性である,7) Rayleigh減衰を用いる。
液状化にともなう地盤の地震中の変形を再現するには,繰返し載荷時のひずみを再現できるモデルが必要である。LIQCAでは,砂の構成式として,Okaらの繰返し弾塑性モデル6),岡,木元7)の拡張構成式を用いている。特徴は1) 微小ひずみ理論,2) 弾塑性理論,3) 非関連流動則,4) 過圧密境界曲面の概念,5) 非線形移動硬化則,6) 剛性のひずみ依存性である。粘性土には、木元らの繰返し弾粘塑性構成式を用いる8)。簡易のため非液状化層にはRamberg-Osgoodモデルも用いることができる。構造部材の鉄筋コンクリート部材のモデルとして,LIQCA2Dでは修正武田モデルが組み込まれている。
境界条件としては,土の変位については,単点拘束と簡易な多点拘束を扱う。単点拘束では固定あるいは自由境界を扱う。多点拘束では任意の2節点の変位を等しくする(等変位境界条件)。間隙水については,任意の要素辺を排水(水頭指定)あるいは非排水境界(流量0)とする。解析領域の無限性を再現するため,側方および底面で粘性境界を扱う。等変位条件は側方粘性境界の場合の圧密時の問題を回避できる。
2次元問題では骨格に平面ひずみ要素(4節点アイソパラメトリック要素),3次元問題ではソリッド要素(8節点アイソパラメトリック要素)を用い,その他構造部材用ビーム要素や2次元ジョイント要素も用いている。 u-p 法を採用し,有限要素法により弱形式を更新Lagrangian 形式を用いる有限要素法で定式化して解く9)更新Lagrangian形式では配置はステップごとに更新され,現在の時間での配置を基準配置とする.8節点アイソパラメトリック要素、水には4節点アイソパラメトリック要素を用いている。
参 考 文 献
1)岡 二三生,渦岡 良介,木元 小百合,立石 章,加藤 亮輔,足立 有史,液状化解析プログラムLIQCAを用いた地盤地震応答解析,地盤工学会誌,土と基礎,63 (10), 12-15, 2015-10.
2) Oka, F., Yashima, A., Shibata, T., Kato, M., and Uzuoka, R.:FEM-FDM coupled liquefaction analysis of a porous soil using an elasto-plastic model, Applied Scientific Research,Vol.52, pp.209-245, 1994.
3)加藤 満、岡 二三生,八嶋 厚,田中幸芳,グラベルドレーンによる地震時間隙水圧抑制と水位地下遺跡による実証,土質工学会誌,土と基礎, 42(4),39-44,1994.
4) 加藤 亮輔, 岡 二三生, 木元 小百合, 小高 猛司, 角南 進,不飽和浸透-変形連成解析手法と河川堤防への適用, 土木学会論文集 C, Vol.65, No.1,pp.226-240,2009.
5) 一般社団法人LIQCA液状化地盤研究所(代表理事 岡二三生),LIQCA2D25・LIQCA3D25(2025年公開版)資料 第Ⅰ編 理論編・第Ⅱ編 実践編, 第III編マニュアル, 2025.
6) Oka, F., Yashima, A., Tateishi, A., Taguchi, Y. and Yamashita, S.: A cyclic elasto-plastic constitutive model for sand considering a plastic-strain dependence of the shear modulus, Geotechnique, Vol. 49, No. 5, pp. 661-680, 1999.
7) Fusao Oka and Sayuri Kimoto, A Cyclic elastoplastic constitutive model and effect of non-associativity on the response of liquefiable sandy soils, Acta Geotechnica, Vol.13,6,pp.1283-1297, 2018.
8) Kimoto,S., Shahbodagh Khan,B., Mirjalili,M. , Oka,F.A Cyclic Elasto-Viscoplastic Constitutive Model for Clay Considering the Nonlinear Kinematic Hardening Rules and the Structural Degradation, Int. J. Geomechanics, ASCE, Vol.15(5),pp.A4014005-14,2015.
9) Oka, F. and Kimoto, S.: Computational Modeling of Multi-phase Geomaterials, Taylor & Francis, 2012.
